アヴェニューセルクリニックでは最先端の再生医療、足のむくみの日帰り治療を受けることができます

医師ブログ

TOP  >  医師ブログ  >   再生医療   >  【筋断裂Vol.2】筋断裂の治療法と再発防止のために心がけたいこと

再生医療

2025/07/06
【筋断裂Vol.2】筋断裂の治療法と再発防止のために心がけたいこと
25070602.png
 
スポーツ中や日常生活のなかで急に無理な動作をしたり、強い負荷がかかったりすると筋肉がダメージを受け、筋線維が裂けてしまいます。それが「筋断裂」です。
一般的には太ももやふくらはぎなど下半身に起こりやすく、強い痛みにより歩くのが困難になる場合も。
筋断裂は突然起こるケガなので応急処置が大切。すぐに対処できるよう治療法について松﨑医師にうかがいました。
 

本記事の要約

筋断裂は応急処置と安静が基本で、初期にはRICE療法(安静・冷却・圧迫・挙上)を行い、必要に応じて鎮痛薬も使用します。軽症なら数週間で回復しますが、重症では手術が必要なことも。リハビリやPRP療法で回復を促し、再発防止にはウォーミングアップ、クールダウン、日常的な筋力維持と柔軟性の向上が重要です。
 

筋断裂を起こしたら安静にし、回復を待つ

損傷の程度によって治療法は異なりますが、ケガをした直後は適切な応急処置を行ってください。
軽症の場合、「足がつったのかも?」とこむら返りと勘違いする人もいます。筋肉をもみほぐしたり、あたためたりすると間違った処置になるので注意しましょう。
 

断裂直後はRICE療法を

筋断裂は保存療法が基本です。受傷直後はRest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)が必要となり、頭文字をとってRICE療法と呼ばれています。
具体的には以下の通り。
  • Rest(安静):損傷部位の過度な使用を避け、負荷をかけないようにする。
  • Ice(冷却):炎症や腫れを抑えるためにアイシングを行う。
  • Compression(圧迫):弾性包帯などで軽い圧迫を加え、腫れを軽減。
  • Elevation(挙上):患部を心臓より高い位置に保ち、血流をコントロールして腫れを抑える。
 

薬物療法で炎症と痛みを軽減

痛みで座っているのもつらい、眠ることができないときは、内服薬で痛みをコントロールします。鎮痛・抗炎症薬のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などが用いられ、痛みを軽減して生活の質を保ちます。
 

安静期をへてリハビリで再発を防ぐ

筋断裂は自然治癒にまかせるのが一般的です。応急処置後は安静にし、患部を固定しながら回復を待ちます。軽症~中等症なら6~8週間ほどで完治するといわれています。
完全断裂した重度の場合、回復が期待できないときには手術で筋線維や腱を縫合します。
 

1週間は患部に負荷をかけず安静にする

「安静」というと横になっているイメージですが、損傷した筋肉を無理に動かさないようにすることです。できれば仕事は1週間ほどリモートにして、必要最低限の動きにとどめておきましょう。
どうしても外出しなければいけないときは、損傷部位をサポーターで固定し、歩行しにくい場合は松葉杖を使うなどしてください。患部に負荷をかけないようにすることが大切です。
 

痛みが軽減したら軽いストレッチから体を動かす

痛み、炎症がおさまってきたらリハビリをスタート。損傷の程度にあわせて行うので、自己判断はせず医師の診断を受けてください。
まずはストレッチで関節の可動域を回復させることから始めます。徐々に筋肉強化のための運動プログラムへと進み、負荷を増やしながら日常生活への復帰を目指します。
筋断裂の程度によりますが、回復までは数週間から数カ月かかることも。手術をした場合はより長いリハビリ期間が必要となります。
 

回復を促すためにPRP療法を用いることも

損傷した筋線維の組織再生を促すために、PRP(多血小板血漿)療法を取り入れるのも選択肢のひとつです。患者様の血液を採取し、特殊な技術で血小板を濃縮したものを患部に注入する治療法です。痛みの軽減、組織の修復促進が期待できます。
ただし、保険適用ではなく自由診療になります。
 

筋断裂の予防、再発防止にはウォーミングアップとクールダウン

筋断裂は、筋肉の柔軟性の低下や疲労蓄積によって起こりやすくなります。スポーツをする前には必ず準備運動を行い、筋肉をあたためてやわらかくしておくことが予防につながります。
特別な運動、スポーツをしない人でも、日常生活のなかで筋断裂を起こすこともありますので、日頃からストレッチをして関節、筋肉の柔軟性を高めておきましょう。
 
運動後、筋肉に疲労を残さないためにはクールダウンも必須です。筋肉の緊張をほぐすためのストレッチを行ってください。
 
また、日頃、運動をしていない人は急な衝撃に耐えられる筋肉をつけることが大切です。何も運動をせず年齢を重ねると筋肉は落ちていくばかりなので、積極的に体を動かして筋力をつけましょう。高齢者だけでなく、若い世代でも筋力がない人が増えています。運動に加え、筋肉の成長を促すたんぱく質もしっかりととり、衝撃に耐えられる筋肉を育ててください。
 

FAQ

Q1. 筋断裂をした直後はどう対処すればいいですか?

A1. RICE療法(安静・冷却・圧迫・挙上)を実施し、患部を動かさず冷やして炎症と腫れを抑えましょう。
 

Q2. 筋断裂の回復にどれくらいかかりますか?

A2. 軽症〜中等症であれば6~8週間前後で回復しますが、重症や手術が必要な場合は数ヶ月かかることもあります。
 

Q3. 再発を防ぐには何を心がけるべきですか?

A3. 運動前後のストレッチ、日常的な筋力トレーニング、たんぱく質摂取で筋肉を強化し、柔軟性を保ちましょう。
 

再生医療の最新記事

2025/07/06
【筋断裂Vol.2】筋断裂の治療法と再発防止のために心がけたいこと
2025/07/06
【筋断裂Vol.1】スポーツだけじゃない。筋断裂が起こりやすい部位とその原因とは
2025/06/03
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.4】椎間板ヘルニアを繰り返さないために心がけたい生活習慣
2025/05/05
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.3】腰椎椎間板ヘルニアの主な手術法とリスクについて医師が解説
2025/04/12
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.2】腰椎椎間板ヘルニアになったら必ず手術は必要? 治療法について医師が解説
2025/01/09
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.1】椎間板ヘルニアとは? その種類と症状について解説
2024/09/17
【股関節と再生医療Vol.4】変形性股関節症の人工股関節置換術で起こるリスクと術後のリハビリ
2024/08/20
【股関節と再生医療Vol.3】変形性股関節症になったら手術は必要? 痛みを軽減する治療法とは
2024/07/22
【股関節と再生医療Vol.2】生活習慣を見直して股関節への負担を軽減。変形性股関節症を悪化させないための予防法とは
2024/06/25
【股関節と再生医療Vol.1】足のつけ根が痛い!歩行障害を招く恐れもある変形性股関節症の原因と症状
2024/05/31
TOPs細胞®の点滴と局所注射の違い
2024/05/27
【膝関節と再生医療Vol.8】膝の変形性関節症の再発防止に欠かせない体重管理とリハビリテーション
2024/05/24
【膝関節と再生医療Vol.7】日常生活を送りながら治療ができる新しい選択肢・再生医療。膝の痛みへの効果とは?
2024/04/30
TOPs細胞®と美容医療の併用について
2024/04/22
【膝関節と再生医療Vol.6】高齢者が膝の手術を選ぶときに知っておきたいメリットとリスクとは
2024/04/01
【膝関節と再生医療Vol.5】筋力強化で膝の痛みを軽減。変形性膝関節症の症状を軽減させる治療法
2024/03/26
幹細胞治療に関するよくあるご質問パート2
2024/03/18
【膝関節と再生医療Vol.4】膝がこわばる、立ち上がるのがつらい。それ、変形性膝関節症かもしれません
2024/03/05
【膝関節と再生医療 Vol.3】激しい運動をしていなくても中高年になるとリスクが高まる半月板損傷
2024/02/26
脂肪採取後の内出血について