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再生医療

2024/04/22
【膝関節と再生医療Vol.6】高齢者が膝の手術を選ぶときに知っておきたいメリットとリスクとは
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膝が痛くて歩けない、階段の上り下りがつらい……。年を重ねると慢性的な膝の痛みに悩まされる人が増えます。その原因のほとんどが、変形性膝関節症といわれています。
初期の段階では、進行を遅らせるために痛みをコントロールしながら体重管理や筋力強化を行う、保存療法が用いられます。
改善が見られない場合は、手術を検討することになります。しかし、高齢者の場合は、手術に耐えられる体力があるだろうか、術後のリハビリができるか、本当に膝の痛みが消えるんだろうか…と不安に思うこともあるでしょう。実際に選択肢となる術式ごとにそのメリットとデメリットを整理しています。
そこで今回は、変形性膝関節症の手術療法について松﨑医師が解説します。
 
 

年齢、変形の進行度合いで選ぶ術式ごとのメリットデメリット

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変形性膝関節症の手術といえばテレビCMなどでも耳にすることがある、人工関節を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。正式には人工関節置換術といいます。変形性膝関節症の手術はこれだけではなく、主に3つの方法があります。簡単に説明しましょう。
 

初期に適応される関節鏡視下手術

膝に小さな穴を数カ所開け、膝用の内視鏡・関節鏡を入れて半月板の損傷や軟骨のすり減りを取り除く手術です。手術といっても大きく切開をしないため、患者さまへの負担が少なく、高齢者にも適応されます。入院期間も1週間ほどで、短いのもメリットの一つ。
しかし、半月板損傷や軽度の変形性膝関節症に対する治療法なので、症状が進行していることが多い高齢者にはあまり効果が期待できない点はデメリットとして挙げられます。
 
 

脛の骨を切って矯正する高位脛骨骨切り術

一般的に60歳未満で、極端なO脚になっている方には、膝関節の近くにある脛の骨を切って変形を矯正する高位脛骨骨切り術を行います。脛の骨を三角形に切り、そこに人工骨を挿入してプレートで固定する方法です。骨を切ることで内側に偏った荷重面を外側に移動し、症状の改善をはかります。
骨がもろくなっていると骨を切ったあとの治りが悪く、治癒までに時間がかかりますので、骨粗しょう症の方にはおすすめできません。また、この方法も変形の度合いが末期になると効果が期待できないため、高齢者向きとは言えない点がデメリットになりえます。
 

症状が進行した60歳以上に適用される人工関節置換術

変形と痛みが強く、歩行が困難な方に適応されるのが人工関節置換術です。
膝を切開して損傷した膝関節を取り除き、大腿骨と脛骨の間に金属やセラミック、プラスチックなどの素材でできた人工関節を埋め込んでセメントやボルトで固定します。この術式は30年以上前から行われている一般的な治療法です。
人工関節の寿命が15~20年なので、再手術を極力避けるために60歳以上の方に勧められる術式として高齢者の方が選択する上では大きなメリットになります。
 
骨切り術と人工関節置換術の入院期間は2~3週間が目安で1カ月かかることも。日常生活に戻るまでは3カ月ほどかかる場合もあることは、デメリットと言えます。
 
 

手術をしたら完治ではなく、リハビリや体重管理は必須

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手術療法で痛みが軽減し、歩行しやすくなり生活の不自由さが解消されますが、手術をしたら治療が終わるわけではありません。
どの手術をしても翌日からは理学療法士の指導のもと、日常生活を送れるようにするためにリハビリがスタートします。リハビリに関しては改めて詳しくお話をしたいと思います。
 

膝に負担をかけないよう体重を増やさないこと

膝痛の予防や保存療法のなかでも繰り返しお伝えしていますが、術後も膝への負担を減らすことが大切です。人工関節にも耐用年数があり、年月が経てば緩みや摩耗が生じます。体重が増え、膝への負担が過度にかかるとそのスピードが早まる恐れがあるのです。
継続的にリハビリを行いながら筋力をつけ、極端に体重が増えないように管理することが大切です。
 
 

高齢者が人工関節置換術をする際に注意したいこと

変形性膝関節症における治療の最終手段は人工関節置換術といわれています。変形が激しく、痛みが強く何をしても改善がみられなかった方にとっては有効な治療法なのです。しかし、前述の通り入院期間や、日常生活が送れるまでになる期間を考えると躊躇される方もいらっしゃいます。
治療法の選択肢として検討する際に知っておきたい人工関節置換術のメリットとリスクについてお話しします。
 

痛みを大幅にやわらげ歩行しやすくなるのがメリット

軟骨がすり減り、関節の変形が進んだ状態ではスムーズに歩くことができず、日常生活に支障をきたします。傷んだ膝関節を人工関節に置換することで、激痛で動くことが困難だった方も立ち上がったり歩いたりするときの痛みが軽くなり、歩行が安定します。膝関節が伸びるので、不安定だった姿勢の改善も期待できます。
痛みがあるときは外出するのが億劫だった方も、リハビリを続け日常生活を取り戻すと散歩や買い物など活動的になり、寝たきりを防ぐことができます。
 

日常動作に制限がある

痛みが軽減し、歩きやすくなるのですが、膝関節の可動域が少し狭くなるため正座やあぐらなど深く膝を曲げることができなくなります。
また、膝関節に負担をかけないように日常生活のなかで気をつけたい動作があります。重い荷物を持つと膝に負担がかかりますので、控えてください。姿勢の悪さも膝に負担がかかるもと。片足に重心をかけない、背中を丸めないなど正しい姿勢を保つように心掛けてください。
人工とはいえ関節の役割をしていますから、過剰な負担をかけないことで人工関節の緩みや摩耗、破損のトラブルを回避することにつながります。
 

細菌感染にかかりやすい

膝を切開して人工関節を埋め込むため、手術創部から細菌が入り感染症を起こすことがあります。細菌は手術をした傷口からだけではなく、風邪や虫歯、胃潰瘍などの菌が血液によって運ばれて感染することも。
細菌感染した場合は、人工関節を取り外し再手術する必要があります。手術前は虫歯の治療をしておく、風邪をひかないようにして細菌感染を予防しましょう。
糖尿病の方は人工関節に細菌が付着する可能性が高くなるので、特に注意が必要です。
 

血栓ができる可能性がある

手術中や術後は足を動かすことができないため、下肢の血流が滞り血の塊(血栓)ができやすくなります。まれにこの血栓が血流にのって肺や心臓に運ばれ、肺塞栓症など命にかかわる合併症を起こすことがあるので、気をつけたいもの。
予防のために手術中と術後には弾性ストッキングやフットポンプを装着します。翌日にはリハビリを開始しますので、積極的に足を動かし血液の流れをよくしましょう。これも血栓予防のひとつです。
 
強い痛みから解放される人工関節置換術は、高齢者にとって生活の質が上がる有効な治療法です。その一方でリスクも多数存在しますので、年齢や症状、今後の生活、費用など総合的に考え、医師と相談しながら治療方法を選択してください。
保存療法か手術療法か、変形性膝関節症の治療はこれまで2択でしたが、近年は第3の選択肢として再生医療が加わりました。その解説は次回にしましょう。
 
<記事更新:2024年7月11日>
 

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