アヴェニューセルクリニックでは最先端の再生医療、足のむくみの日帰り治療を受けることができます

医師ブログ

TOP  >  医師ブログ  >   再生医療   >  【培養幹細胞治療の学び】脂肪幹細胞を用いた変形性膝関節症の治療の流れ ~前編~

再生医療

2023/10/02
【培養幹細胞治療の学び】脂肪幹細胞を用いた変形性膝関節症の治療の流れ ~前編~
変形性膝関節症を例に、既存の治療法と再生医療を用いた治療法について解説してきました。ここからは、当クリニックが行っている脂肪由来の幹細胞治療について、来院から順を追って詳しく説明をいたします。
 
231001_1.jpg
 

脂肪由来の幹細胞の特徴

当クリニックでは、再生医療をはじめて以来、「痛みをまったく感じない方法で患者様の体内から幹細胞を取り出すこと」「より効果のある治療法の確立」を目指してきました。この目標に最も近い方法として、脂肪細胞を用いる幹細胞治療を行っています。
 
幹細胞治療は、はじめのうちは骨髄由来が多く使われていました。のちに骨髄に存在する幹細胞と似た性質を持つ幹細胞が皮下脂肪にもあることがわかり、採取が簡単で組織量も豊富で培養も安定していることから、脂肪由来の幹細胞がメインになってきました。
 
脂肪幹細胞は、分化して脂肪になるだけでなく、条件次第で軟骨や骨、神経などにも分化できます。この性質を活かして治療を行います。
脂肪幹細胞の大きな利点は、高齢になっても数が減らずに増え続けることです。年を重ねるとおなか周りに脂肪がついてしまいますが、その脂肪の中にも幹細胞が含まれているのです。加齢によって機能が低下していく組織が多いなか、脂肪は増えていくのが面白いですね。
 

専門家が集まったチームで治療にあたる ~問診から治療日決定まで~

当クリニックでは、整形外科医、形成外科医、神経内科医、細胞培養の専門家、リハビリ指導スタッフで構成されたチームが、一丸となって治療にあたります。
 

問診、触診、MRI画像診断

初診の患者様に対しては症状を正確に把握するために、問診、触診、MRI検査を行います。
膝のトラブルで受診される方には、整形外科領域の国際的研究団体「AOファウンデーション」が開発した42項目の質問に答えてもらいます。この質問で患者様の痛みの度合いがわかりますが、「痛み」は主観的なもので、個人差が出ます。そのため、初診時には客観的に痛みの程度を測るスケールも利用します。膝の動き、動かしたときの音、痛む場所、腫れの具合を触診したあと、MRIを使って画像診断を行います。
レントゲンでは骨しか写りませんが、MRIなら関節のあいだにある軟骨や半月板の状態も確認できます。レントゲンでは見逃されてしまうごく小さな骨の損傷も発見できるのです。
 

症状と治療法を説明し、治療法を決める

次に、患者様に検査結果をふまえ症状を伝え、治療法を相談します。
たとえば、「変形性膝関節症」と診断し、「この場合は幹細胞治療がいいですよ」と医師の立場から患者様に押し付けるわけにはいきません。
変形性膝関節症の治療法は複数あるので、ほかの治療法についても説明したうえで幹細胞治療のこともお伝えします。主に治療の特徴や手順、治療までに要する幹細胞培養の日数、期待される効果、治療費などです。再生医療のほとんどは自由診療で、治療費は保険診療に比べてかなり高額になるため、先にきちんとお伝えします。
変形性膝関節症で受診される患者様のなかには、いくつもの治療を経験された方が大勢いらっしゃいます。どの治療法を試しても根本的な治療には至らず、再生医療に最後の望みを託している方も多いので、できる限り丁寧な説明を心がけています。
一番大事なのは、患者様の希望をしっかりとうかがい、質問に明確に答え、私たちが提供しようとする医療と合致するかどうか、じっくり話し合って方針を定めることです。
医師が患者様に十分に説明し、十分納得していただいたうえで同意を得ることを「インフォームドコンセント」と言います。当クリニックでは、このインフォームコンセントを大切にし、たっぷりと時間をかけています。
 

脂肪採取、血液採取

幹細胞治療は、患者様の脂肪組織を採取することから始まります。体のどこにある脂肪でもいいのですが、当クリニックではおなかの脂肪を採取しています。局所麻酔をしてから、おへその近くをメスで3〜4㎜切開して脂肪を丁寧に採取します。傷痕があまり残らないように、おへそ付近のシワに沿って切開するようにしています。
健康状態のチェックと細胞を培養するために必要な血液も採取します。採取量は60〜80ccぐらいです。その血液を遠心分離機にかけ、血清を取り出して培養に用います。血液の一部は検査にまわし、患部以外に異常はないか健康状態を確認しておきます。
 

幹細胞培養

採取した脂肪から幹細胞を分離します。院内の細胞培養室(CPC)で培養を開始し、治療に必要な数まで増やします。
この時点ではまだ投与日は確定できません。
 

治療日(投与)の決定

幹細胞の培養を始めてから2週間ほど経つと、細胞の増殖が目標値に達する時期がほぼ確定します。ここで患者様に連絡をし、治療日を相談します。変形性膝関節症の治療では、脂肪を採取した日から約3~4週間後が目安です。
治療日とは、幹細胞を注射で膝に投与する日のことです。その日が確定したら、最良の状態で投与できるように幹細胞を調整していきますので、原則、治療日の変更はできません。とはいえ、患者様の都合によっては変更せざるを得ないこともありますので、その場合は幹細胞をいったん凍結するなど調整を行います。
 
治療から術後の生活については、後編でお話しします。

 

再生医療の最新記事

2025/07/06
【筋断裂Vol.2】筋断裂の治療法と再発防止のために心がけたいこと
2025/07/06
【筋断裂Vol.1】スポーツだけじゃない。筋断裂が起こりやすい部位とその原因とは
2025/06/03
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.4】椎間板ヘルニアを繰り返さないために心がけたい生活習慣
2025/05/05
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.3】腰椎椎間板ヘルニアの主な手術法とリスクについて医師が解説
2025/04/12
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.2】腰椎椎間板ヘルニアになったら必ず手術は必要? 治療法について医師が解説
2025/01/09
【椎間板ヘルニアと再生医療Vol.1】椎間板ヘルニアとは? その種類と症状について解説
2024/09/17
【股関節と再生医療Vol.4】変形性股関節症の人工股関節置換術で起こるリスクと術後のリハビリ
2024/08/20
【股関節と再生医療Vol.3】変形性股関節症になったら手術は必要? 痛みを軽減する治療法とは
2024/07/22
【股関節と再生医療Vol.2】生活習慣を見直して股関節への負担を軽減。変形性股関節症を悪化させないための予防法とは
2024/06/25
【股関節と再生医療Vol.1】足のつけ根が痛い!歩行障害を招く恐れもある変形性股関節症の原因と症状
2024/05/27
【膝関節と再生医療Vol.8】膝の変形性関節症の再発防止に欠かせない体重管理とリハビリテーション
2024/05/24
【膝関節と再生医療Vol.7】日常生活を送りながら治療ができる新しい選択肢・再生医療。膝の痛みへの効果とは?
2024/04/22
【膝関節と再生医療Vol.6】高齢者が膝の手術を選ぶときに知っておきたいメリットとリスクとは
2024/04/01
【膝関節と再生医療Vol.5】筋力強化で膝の痛みを軽減。変形性膝関節症の症状を軽減させる治療法
2024/03/26
幹細胞治療に関するよくあるご質問パート2
2024/03/18
【膝関節と再生医療Vol.4】膝がこわばる、立ち上がるのがつらい。それ、変形性膝関節症かもしれません
2024/03/05
【膝関節と再生医療 Vol.3】激しい運動をしていなくても中高年になるとリスクが高まる半月板損傷
2024/02/26
脂肪採取後の内出血について
2024/02/19
【膝関節と再生医療 Vol.2】膝痛、腰痛を軽減するために日ごろからできることとは?運動習慣や体重管理、筋トレから
2024/02/10
【膝関節と再生医療 Vol.1】その膝や腰の痛み、「年だから」ですませていませんか?その原因とは?