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再生医療

2023/05/12
松﨑先生と膝関節の再生医療と肌の再生医療についての対談・後半

こんにちは、アヴェニューセルクリニック院長の井上啓太(いのうえけいた)です。

今回は前回の松﨑 時夫(まつざきときお)先生と再生医療についての対談後半をお届けします。

 

前回の対談のブログは、こちらをご覧ください。



松﨑先生と対談_前半

 

幹細胞を投与する事で軟骨の炎症を取り除く

 

井上医師

間葉系幹細胞には、炎症を抑えるという働きと、組織を再生する働きがあると思います。

関節軟骨の損傷あるいは減少に関しては、炎症も抑え、細胞成分も補充するので効果があるのではという事ですね。

 

幹細胞は炎症を抑える.png

 

松﨑医師

最近の研究では関節の中に幹細胞を入れると、幹細胞自体が全て滑膜に吸収されます。

滑膜に吸収された幹細胞が、色々な良いシグナルを出して関節軟骨を修復します。

 

そのシグナルが、最近ではエクソソームと言われています。

そのエクソソームの中には、色々な遺伝子とかタンパク質が含まれています。

エクソソームが軟骨細胞あるいは表層の細胞に作用して、修復を促すのではと言われてます。

 

エクソソーム.png

 

井上医師

投与後に、半月板が再生する例はありますよね?

これは滑膜に吸収される幹細胞ということで、幹細胞自身は軟骨にはなりませんか?

 

松﨑医師

まだそれは研究段階ですね。

滑膜に吸収された幹細胞のシグナルによって、その周りの細胞が活性化されたりし、残っている軟骨自体が活性化して増殖すると考えられています。

 

iPS細胞と間葉系幹細胞の違い

 

松﨑医師

間葉系幹細胞は、自分自身の脂肪から採ってそれを用います。

そのためアレルギーの反応だったりとか感染症であるとか、遺伝子治療が不要であるとか、その様な心配がありません。

 

井上医師

間葉系幹細胞は、当院ではさらに安全性を高めたTOPs細胞®というのを使っています。

 

 

それを実用化するために、動いている研究所もあります。

実際に動物のコラーゲンを使って、そこに人間の自己由来細胞を入れている、自家軟骨移植術という方法もあります。

自分自身の軟骨細胞を培養して、そこに豚から採ったコラーゲンを無細胞化したマトリックスに入れて、それを部分的な軟骨のところに手術で入れます。

 

部分的な手術.png

 

しかし、軟骨を採ったりするのに部分的にメスで切らなければいけないので、少し患者さんに負担がかかってしまいます。

できるだけ体に侵襲を加えない状態での治療というのが本来望ましいです。

 

井上医師

細胞治療って注射するだけなので、非常に患者さんの負担も少なくていい治療ですが、大きな軟骨の欠損とかには、細胞治療では足りないということですか?

 

松﨑医師

関節の軟骨が大きくすり減った様な関節症にも、細胞治療はしております。

しかし、変形の進行具合が高い方というのは、やはり治療の効果は落ちてしまいます。

ただ、それでも痛みが緩和し、炎症を抑える事ができます。

 

中には、ほぼなくなってしまった軟骨表面が少し再生されるような変化を認める方もいます。

従来だとその様な方は、関節置換術の人工関節の手術になっていました。

 

人工関節の手術.png

その様な症例でも、細胞治療のメリットはあるということです。

細胞治療は人工関節以外の治療法というもの中では、かなり画期的な治療法だと思っています。

 

PRPと細胞治療との比較

 

松﨑医師

PRPというのは基本的に、血小板っていう体の中の血液の成分です。

血小板自体は、核も持たないタンパク質を色々含んでいる細胞です。

その血小板を入れる方法というのは、あくまで血小板の中にある成長因子など栄養素を少し関節の中に入れているだけで、細胞自体を入れているというよりはタンパク質を入れているという形です。

そのため、我々が行っているような幹細胞治療というのは少し違います。

幹細胞治療は栄養+細胞を入れるようになります。

 

 

井上医師

私も肌の注射でPRPを入れたり、細胞を入れたりすることがありますが、患者さんに説明するのは「PRPはお薬みたいなもので、使われるとなくなってしまいます。」と話しています。

一方、幹細胞は栄養素を作る工場みたいなものなので、栄養素を作ってくれる工場をそのままお肌の中に入れるので、PRPより長続きしますという様な説明をします。

栄養素の工場.png

膝関節に関してもそういう事でしょうか?

 

松﨑医師

やはり長期的な意味でも、一部の軟骨がある程度修復されればPRPで栄養素入れるだけよりも長期的な効果も期待できると考えています。

 

井上医師

松﨑先生もたくさんの臨床症例を細胞治療されていますが、一番の良さというのはどの様に考えられていますか?

 

松﨑医師

まず、関節の治療の中で関節内に直接いいものを入れるというのが、一番良い方法だと思っています。

よく保険診療内ではヒアルロン酸などを入れますが、やはりヒアルロン酸の効果は長くても一週間ぐらいしか保たないです。

 

幹細胞治療に関してのメリットは、お腹の脂肪というかなり身近な所から幹細胞を採り出せるっていうのが一番のメリットだと思います。

当院で使用しているTOPs細胞®は体への負担が小さいです。

痛みもほとんど感じない状況でお腹から採取して幹細胞を培養し、関節の中に戻す方法なので体への負担がとにかく少ないです。

 

TOPs細胞は負担が小さい.png

 

変形性膝関節症の病態はどの様な状態?

松﨑医師

変形性膝関節症は、骨の変形によって痛みを引き起こすような病気です。

軟骨自体は痛みを感じる神経は無いので、軟骨がすり減ることでまわりの軟骨下骨というところだったり、半月板や靱帯などに痛みの神経があるので膝に痛みを感じます。

半月板や靭帯に痛み.png

 

井上医師

よく進行した膝関節症の方で、膝の軟骨の下がMRIでぽっかり黒くなってる病変を見ることがあります。

松﨑医師

黒い部分は骨自体が炎症を起こしてしまって、軟骨がない部分になります。

軟骨がないので、直接骨に圧がかかって炎症が起こって白く写ったりします。

 

井上医師

間葉系幹細胞は炎症を強く抑える作用がありますけども、軟骨下骨には血流があるので、そこに細胞治療をすると幹細胞が到達すると考えてよろしいですか?

松﨑医師

恐らくですけども滑膜に吸収されつつ、周りの血管を介して炎症部位に行って、炎症を抑えるような働きを持っています。

幹細胞の治療を終えて効果がある方は、炎症のある白い所が小さくなるという効果が見て確認できます。

 

 

井上医師

それはヒアルロン酸では、無理だっていうことですか?

 

松﨑医師

ヒアルロン酸も炎症を抑える効果があるんですが、やはり長期間はなかなか期待できないです。

強く炎症を抑える効果というのはなかなか期待できません。

それに対して幹細胞は、打つと長期的に炎症を抑えてくれる効果が期待できます。

炎症を抑える幹細胞.png

肌への細胞治療

井上医師

軟骨も細胞外マトリックスというものの一つだと思います。

お肌の真皮も細胞外マトリックスの塊みたいなもので、主成分がコラーゲンやヒアルロン酸などになります。

 

お肌はやっぱり軟骨と一緒で、真皮の中に線維芽細胞が散在しています。

ほとんど成分はコラーゲンで、少数の細胞がコラーゲンを生成してお肌の厚みを作っています。

 

加齢によって細胞成分が減っていくと、コラーゲンを作る能力が下がってくるので真皮が薄くなってきます。

これは、軟骨の老化とよく似ています。

真皮が薄くなってくると薄くへたったような感じになり、シワができやすい状態になってきます。

 

お肌の場合は、幹細胞を打つと真皮の下の血管網が豊かになったり、未熟なコラーゲンとかヒアルロン酸とか細胞外マトリックスが増えます。

その結果、真皮の厚みが増して肌が元気になっていきます。

皮膚に幹細胞を打つと細胞外マトリックスが増える.png

 

関節の炎症の場合は炎症を抑えるために幹細胞を使ところがあって、軟骨に直接幹細胞を入れるのではなく周囲環境を整えるという意味で効果が期待できて、少し幹細胞を入れる場所は違いますけど、効果としては周囲の細胞を元気に活性化させる事ができます。

 

こちらの内容は動画でもご覧いただけます。

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