アヴェニューセルクリニックでは最先端の再生医療、足のむくみの日帰り治療を受けることができます

医師ブログ

TOP  >  医師ブログ  >   再生医療   >  【Dr.もといの再生医療最前線!】6.Multi-organ crosstalk model

再生医療

2022/05/18
【Dr.もといの再生医療最前線!】6.Multi-organ crosstalk model

「徳は孤ならず、必ず隣あり。」 論語 里仁

 

体には五臓六腑、様々な臓器があり、それらがお互いに助け合って生きています。まさに隣にあるその臓器たちが連携しあっているのですが、一つ一つの臓器の働きだけでなく、お互いのやりとりに注目が集まっています。

 

本日は世界的にも1番有名くらいである雑誌nature、、の姉妹誌で勢い爆上げ状態のnature biomedical engineeringの今月号 表紙を飾った論文の紹介です。

 

ミニ生物をシャーレ上に作って、臓器の間で何が起こっているのかを観察・評価できるモデルを作ってしまったと言う話です。臓器を細胞だけでバラバラにしたのち、特別な条件で育てる(培養)と、3次元に形を作っていきます。3次元培養、1980年代後半から研究は進められていましたが、ある時革命がおきました。

 

何にでもなれてしまう幹細胞(多分化能を持つ細胞)がその大元の細胞として加えられるようになってから、それぞれの臓器をミニチュアで作ってしまい、どのお薬が効果ありそうかなとか、どんな働きをしているのかなとか、実験室で調べることができるようになりました。2010年前半、オルガノイドの誕生です。

 

その後およそ体のほとんどの臓器のオルガノイドが研究され、ついにはそれぞれの臓器の間でのやりとりまでシャーレ上で検討できる時代がやってきている、実に驚きました。

 

研究って1箇所の研究チームだけが突出してすごいこともありますが、似たようなテーマで連動していることも多々あります。他にも臓器のそれぞれの連絡網を調べようと言う研究は進んでいて、mRNA(メッセンジャーRNA)やエクソソームなど、追って伝えて行けたら良いなと思います。

 

 

ではまた!

 

(加藤基)

 

参考資料

Ronaldson-Bouchard, K., Teles, D., Yeager, K. et al. A multi-organ chip with matured tissue niches linked by vascular flow. Nat. Biomed. Eng 6, 351–371 (2022). https://doi.org/10.1038/s41551-022-00882-6

 

 

再生医療の最新記事

2023/07/03
【培養幹細胞治療の学び】再生医療の要である幹細胞とは何か。その特徴と役割を解説
2023/06/30
寺尾先生と幹細胞の点滴について対談・後半~身体的フレイルに対する幹細胞治療とプレフレイルについて
2023/06/06
寺尾先生と幹細胞の点滴について対談・前半~脊髄損傷と腰痛や座骨神経痛などの慢性疼痛への幹細胞治療について
2023/05/12
松﨑先生と膝関節の再生医療と肌の再生医療についての対談・後半
2023/04/21
松﨑先生と膝関節の再生医療と肌の再生医療についての対談・前半
2023/03/08
【Dr.もといの再生医療最前線!】19.細胞培養の歴史
2023/03/07
肌の再生医療にかかせないTOPs細胞®について
2023/03/03
アヴェニューセルクリニックについて
2023/02/22
【Dr.もといの再生医療最前線!】18.PMDA再生医療等製品
2023/02/17
再生医療に関連する法律について
2023/02/08
【Dr.もといの再生医療最前線!】17.毛髪の再生医療
2023/01/27
肌再生治療のメカニズム
2023/01/19
脂肪幹細胞による肌治療の詳細
2023/01/11
【Dr.もといの再生医療最前線!】16.老化細胞
2022/12/16
間葉系幹細胞の歴史と再生医療で用いた時にどのような効果があるのか
2022/12/15
【Dr.もといの再生医療最前線!】15.老化と記憶
2022/12/02
肌再生治療なぜいま脂肪幹細胞なのか
2022/11/30
【Dr.もといの再生医療最前線!】14.IT革命
2022/11/15
今話題の肌の再生医療とは
2022/10/19
【Dr.もといの再生医療最前線!】13.皮膚の老化